「上方の窓を完全に埋め、強い達成感」~6/23(夕刊)
本日の日経平均は 9.24 円安の 28874.89 円で取引を終了した。前場は上昇幅を拡大させる場面があったものの、その後は上値の重い展開。結局、大引けではマイナス圏に沈んだ。
昨日の米国株は上昇したものの、日経平均は前日の急騰の影響もあり、やや織り込み済みの状況。円安歩調は維持したものの、積極的に上値を買う動きにはならなかった。依然として米 FRB による早期利上げ観測がくすぶっており、これが上値を抑えている格好。日経平均は買い一巡後に戻り売りに押された。

日経平均の日足チャートでは、典型的な「窓理論」の法則2「戻り売り」の形となった。窓を上ひげで完全に埋めたことで、強い達成感が台頭。これ以上の上値余地がないことを示している。
同時にチャートは「弱気形状」を維持しており、改めて下値を試しやすい。明日にも下落歩調を強めることが予想され、投資家はこの戻ったところは素直に「売り」ということになるのだろう。
市場が警戒しているのは、米 FRB による早期の利上げ。急速な金利上昇が景気の腰を折り、それが株安につながるのではないかと心配している。
しかし、足元、米長期金利は 1.4%台に落ち着いており、金利上昇の気配を見せていない。政策金利を含めた短期金利が低位安定するなか、米長期金利がジワジワと低下し始めているのだ――そこに何か「すごい違和感」がある。
米長期金利が低下するということは、長期の米国債が買われているということ。これから景気が良くなって、当局が景気の過熱感を抑えると踏んだ投資家が、金利上昇を見越して、債券を売る――といったことと、まったく反対のことが起こっているのだ。長期金利低下は「これから景気が悪くなる?」――そういった意味が含まれているかもしれない。
我々はコロナワクチンの普及によって、経済は正常化すると予想している。それが景気を浮上させ、それにしたがって金利も上昇するのではないか――と考えている。そして米国がテーパリング(緩和縮小)を始めたら、それが顕著になる、とも考えているのだ。
だが、実際にはそうなっていはいない。米長期金利の低下は、マーケットが「その先」を読んでいるのかもしれない。これからものすごい不況が訪れ、再び金利低下を余儀なくされるのでは?――そういった合図なのかもしれない。なので、米国の長短金利差、特に長期金利の動向は要チェックとなる。
<マーケット・ストーリー>
社会の窓を完全に閉めたら、それで「完了」なはずだ。しかし、これから再び「全開」となるようでは、この世は終わったも同然。治安悪化の予感がものすごくする。