先週末の米国株式相場は上昇。ダウ工業株 30 種平均は 229.23 ドル高の 34777.76、ナスダック総合指数は 119.40 ポイント高の 13752.24 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 29395 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は堅調スタートを想定。若干、強含みからスタートすると思われる。
注目の米雇用統計は、市場予想を大幅に下回る展開。非農業部門雇用者数は 26 万人増となり、予想の97万人を大幅に下回った。ただ、ダウはマイナスで反応する場面もあったが、徐々に切り返す動き。「FRB が量的緩和の縮小(テーパリング)にすぐに踏み切る可能性は低い」との見方が強まり、売り一巡後は上昇幅を拡大させる展開となった。
日経平均の日足チャートでは、上方に窓を残す形。本日はそれを試しに行く動きとなりそうだが、なにせ相場に勢いがない。需給要因で窓上限(29530.84 円)まで到達する可能性はあるが、早々に上値を抑えられそうだ。基本的には手掛かり材料難のボックス相場。チャートは強含みの動きだが、ここからすぐに抜け出せそうにもない。
米雇用統計の下振れは、結局、相場に何の影響もなかった・・・・。まさにそういうことになるのだろう。専門家の多くは、米雇用統計に関してウンチクを垂れ流す。「ワクチン普及によって、経済が正常化に向かっている」と・・・。しかし、相場はむしろ「コロナ長期化でテーパリングが遠のく」との見方を好感した。だから、「視点」が違うのだ。
経済の専門家が見ているのは、雇用や景気である。米国の経済が上向きなのか、それとも下向きなのか――。それを経済指標で確認しているだけである。
しかし、マーケット関係者は株価がどうなるのかにしか関心がない。決して「米雇用統計が良好=株高」ではないということだ。
株価にとって最も重要なのは、「中央銀行のスタンス」なのだ。これが緩和的なのか、それとも引き締め的なのか・・・・。その将来の「矢印」の方向を見ている。もし、米雇用統計がすこぶる良好で、テーパリングの可能性が出てきたら、株価はむしろ「下方向」で反応しただろう。重要なのは、そういう観点だ。
投資家は経済指標に注目しているが、それはあくまでも「過去の轍(わだち)」にすぎない。これまで通ってきた道であり、それが砂利道なのか舗装されているのかは、あまり関係ない。重要なのは、「この先の道」である。もし、「スーパー・ハイウェイ」ならば、大きく株高で反応するだろう。
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