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「NISA初心者に告ぐ」~黒岩の眼

 「NISAは画期的な制度です。積立・分散・長期を守れば、老後の資金は安心!」――投資慣れしていない日本人からしてみれば、「これって本当なの?」と疑いたくもなる言葉である。信じて良いのか、それともヤメたほうが良いのか――そのへんをしっかりと考えてみたい。


 まず、NISAというのは、日本(N)、個人(I)、貯蓄(S)、口座(A)の略である。老後資金が足りないという「2000万円問題」の対策の一環で、岸田政権が取り入れた個人向けの投資非課税制度である。


 これまでNISAはあったが、金額が不十分であった。今年から最大1800万円まで増額され、しかも無期限となった。


 では、何の税金がタダなのか――それは、配当や利益である。通常は20%程度の税金がかかっていたが、これが完全に無税となった。これまで100万円の配当、利益があった場合、通常は20万円の税金を払っていた。しかし、この制度をつかえば、この20万円がとられないで済む。「格段にお得」というわけだ。国の年金制度はどうしても少子高齢化の影響もあって資金不足が否めない。そんななか「老後の資金は自分で賄う」をモットーに、この制度がスタートした。アメリカのように国民が投資に積極的になれば、老後の資金を自分で賄うことができる――そう考えられたのだ。


 あと、新NISAが開始された背景には、世界的な「インフレ」もあるだろう。日本はこれまで経済が縮小均衡のデフレ経済下にあった。そのようななか、企業はモノの値段を安くすることで、消費者に買ってもらおうとしていた。だが、こういった体質が染みついたことで、日本は「失われた20年」を経験してしまった。ただ、ようやく足元では物価、そして賃金も上昇しようとしており、こういった「悪循環」を断ち切ろうとしている。「デフレ時代からインフレ時代に」――そう期待されており、それが新NISA誕生のきっかけにもなった。「インフレになれば、株高が期待できる」「物価上昇に負けない資産形成ができる」――そういった思惑も出てきている。


 だが、新NISAを勘違いすると、取り返しがつかない間違いを犯すことになる。前述の通り、専門家は「積立・分散・長期は安心」だという。確かにそうだろう。競馬で100倍の馬に一点賭けするのとはワケが違う。しかし、制度を正確に理解せず、何も考えずに勇み足をすると、取り返しのないミスを犯すことになる。それはいったいどういったことか――。


 まず、長期の積立に関してである。これは毎月、少額ずつ、「ある銘柄」を買い続けることを意味する。上がっても下がっても関係なく、ただひたすら同額だけ買い続ける。機械的に行うのだ。そしてそれが平均的に買い付け単価を押し下げる効果(ドル・コスト平均法)を生み出す。月々1万円の投資だとして、株価が1000円のときは10株買えるが、500円のときは20株買える。さらに下がって250円まで落ちれば、40株も買えるのだ。こうやって株価が下がれば下がるほど平均取得単価が下がる。逆に、株価が2000円まで上昇すると5株しか買えない。こうやって平均買付単価を抑えることができる。結果的に「儲けやすくなる」というわけだ。


 しかし、重要なのは「入口」ではない。「出口」である。もし、仮にこの投資を30年間続けた場合、このドル・コスト平均法は果たして有効なのか――恐らくその効力はかなり低下しているだろう。なぜならば、すでに12か月×30年=360か月分、積立しているに対して、これから新規で買うのはたった1か月分である。全体の資金と比べて圧倒的に小さく、「焼け石に水」となる可能性が高いからだ。したがって、重要なのは「最終着地点」であり、「分散すれば安心」ということではない。バブル期のように株価が急騰していれば良いのだが、リーマンショック、東日本大震災のようなときに換金を余儀なくされれば、圧倒的に損をしてしまう。「出口」が極めて大事なのだ。


 そして分散である。専門家に聞くと、「米国S&P」とか「オルカン(全世界株式)」が良い」と勧めるケースが多い。でも、その理由となっているのが、「これまで長期で持っていたらすごく儲かった」という経験則が前提となっている。「全世界の株式を買えば、分散できていて安心」とも言っている。


 しかし、過去の結果を見て、「これからも安心」ということは決してない。米国株が成功したのはあくまでも過去であって、決して未来ではない。もちろん米国にはGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)と呼ばれる世界を代表する企業が存在している。だが、これらが未来永劫、世界を席巻するとも限らない。あくまでも将来は未知数なのだ。だから、前述の通り「米国S&Pが安心」ということは、ちょっと乱暴なロジックだ。場合によっては、中国、ロシア、インド、グローバル・サウスなどが台頭してきて、米国企業を駆逐してしまう可能性だってある。過信は禁物なのだ。


 そして、オルカン(オールカントリー)と呼ばれる全世界の株式だ。しかし、この大半は米国株で占められており、思っていたほど「全世界」ではない。時価総額の大きい米国株に左右されてしまい、「これで安心」ということはない。


 あと気になるのは、「成長枠」でのギャンブルだ。年間240万円の成長枠を使って、「勝負してしまう」ケースが予想されるからだ。もちろんNISAのメリットは、非課税であること。しかし、これを勘違いし、「儲けが大きいほど有利」→「株価が急騰する銘柄でこの制度を使うべき」→「一発高を狙える銘柄に集中投資をしよう」と論理が飛躍してしまうことだ。確かに成功すればメリットは大きいが、もし失敗した場合には目も当てられない。場合によっては「ゼロ」になってしまうことがあるだろう。株価がゼロになる銘柄を長期で積立――これではいったい何をやっているか分からない。今すぐに結果が出る、というわけではないが、数十年後に「雲泥の差」がつく可能性が十分にある。投資家はこういった点を踏まえながら、慎重に「第一歩」を踏み出さなければならない。「保険は家を買うくらい大きな買い物」と言われるぐらい、「NISAの銘柄選びはそれぐらい重要」なのだ。


 では、いったい何を選べば良いのか。それは外国モノに手を出さず、素直に日本のインデックス(日経平均やTOPIX)に投資するのが良いだろう。なぜならば、我々は日本人であり、日本国内でお金を使う。もし、インフレになった場合でも、日本のお金が増えていれば、それで問題ない。外国モノを買うと、為替が影響してきて、不安定要素が増えてしまう。


 そして個別銘柄には、決して手を出さないようにしたい。どんな大企業であっても、ツブれては元も子もない。過去には「まさかあの大企業が?」といったものが結構、ツブれており、かなり「意外性」があったものだ。あくまでも長期で積立するのだから、なくなる心配のない指数関係の商品を選ぶようにしたい。個人的には「TOPIX連動型」が良いと思う。日経平均型は組み入れ銘柄に凸凹があって、ファストリやアドバンテストなどの指数寄与度の大きい値がさ株に左右されやすい。採用銘柄の入れ替え時の乱高下も気になる。それに対してTOPIXは「時価総額型」であり、幅広い銘柄がその企業の時価総額相当分だけ組み込まれている。「より安定的」であるのだ。


 そんな感じで、巷で言われているように「新NISAが万能薬ではないこと」を理解していただきたい。投資はあくまでも「自己責任」であり、そして「未知数」であるということ。得するときもあるし、損するときもある。将来、「あのときやらなければよかった」と後悔する前に、今の段階でしっかりとこの制度・仕組みを理解するようにしたい。


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