top of page
執筆者の写真Yasushi Kuroiwa

今週の株式相場は?

「今週の日経平均は米PCEデフレータを受けて、堅調なスタートが予想されます。果たして下落相場は終了したのか。先週末に日経平均の日足チャートは完全な窓埋め。この形状から次はどのような展開が予想されるのか?」



先週末の米PCEデフレータを受けて、シカゴ日経平均先物は38730円と上昇。週明けの日経平均は買い先行となりそうです。そして今後はどのような展開となりそうなのか。「株価はなぜ窓埋めをするのか」という視点から考えてみましょう。


まず、その前に「あなたがAという銘柄を1000円で買った場面」を想像してみましょう。「これは上がる!」と思って買ったものです。そのとき、心のなかで「上がれ!上がれ!」と思っています。


もし、それが思惑通り、1100円まで上昇したとしましょう。そこであなたは「利食い」をするかどうか考えるでしょう。100円儲かるからです。でも、そのまま持ち続けたとします。


しかし、株価は予想と反して下落してしまいました。1020円です。そこであなたは考えるでしょう。今、売れば、何とか利益になる。「そんな儲かんなかったけど、まあいいか」となります。しかし、我慢して持ち続けたとします。


でも、無情にも株価は下落。900円になってしまいました。そのときあなたは損切りしようか悩みます。しかし、「いったん儲かったときに売らなかったんだから、今更、こんなところで売れるか!」と、結局は持ち続けることになります。


そして株価は800円になってしまいました。このときあなたは「もう売る気がしない」「見る気もしない」となってしまいます。「次、上がってきたときに考えればいいや」となるのです。


そして、しばらくすると、株価は980円まで上昇してきました。ここであなたは考えます。「20円の損だけど、これくらいの損なら我慢できる」「次の銘柄を探すこともできる」と・・・。でも、持ち続けたことにします。


そして、株価は1020円まで上昇しました。ここであなたは「ようやく利益が出た。今ならプラスになる」と、ここで売ることにします。


しかし、株価は無情にもそこから大暴騰。1500円までスッ飛んでしまいました。あなたは「利益を獲り損ねた。くやしい!」と地団駄を踏むことになるでしょう。でも、内心では「良かった。損はしなかった」と、ちょっぴり安堵しています・・・。


ここで重要なのは、あなたの感情の変化です。どの値段のときに、「もっとも売ろうとしたのか」ということです。


1100円?900円?それとも800円?・・・いや、やっぱり1020円とか980円とか、買値に近いところになります。特に1020円のところには、大きな売り需要があります。「ん?1500円?」ーーいや、その値段になる前に、とっくに売ってしまっています。。。


これをグラフで表すとこのようになります。つまり、買値である1000円の近くで最も売りたくなり、そこから離れるにしたがって徐々にそれが小さくなっていくのです。



当然、この話は「あなた」に限った話ではなく、1000円で買った投資家すべてに当てはまります。だから、1000円買った人が多ければ多いほど、この近辺での売り圧力は強くなります。「買った人が多い」ということは、「出来高が多い」ということです。


ここで単純化したチャートで考えてみましょう。株価が1100円から1000円まで下がり、そのあと窓を空けて下落したときのものです。そのとき価格帯別出来高は右のような感じになったとします。重要なのは、窓の価格帯(900円~1000円)に「出来高が存在しない」ということです。



重要なのは、この「価格帯別出来高=売り圧力」ということです。1050円になると「売りたい」という人はいますが、950円で買った投資家は存在せず、ここでの売り圧力は小さいのです。


ここで株価が800円から900円に戻ったときのことを考えます。このとき株価はどちらの方向に行きやすいか。1000円まで上昇するのか。それとも、また800円まで下落してしまうのか。



もちろん「1000円まで上昇」が正解となります。なぜならば、上方には「窓」が空いており、「売り圧力が小さい」からです。スムーズな株価上昇が見込め、その分"妙味”があることが分かります。再び下落するよりも"ストレス”が小さいのです。


もちろん、これは株価が上昇して窓を空けたパターンでも同じことが言え、「株価は窓に引き寄せられる習性がある」ことになります。その根底にあるのが、"価格面での妙味”です。株価は売り圧力の小さい方に動きやすいのです。


ここで価格帯別出来高を緩やかな曲線(断面図)で表現することにします。赤い丸は株価で「ボール」だと思ってください。



これだと分かりづらいので、この「断面図」を見やすい感じに回転させます。すると、株価(ボール)が窓に引き寄せられやすいことが分かります。



しかし、いったん窓を埋めてしまうと、株価の窓を引き寄せる力は消滅。そのあとは、別の力の影響を受けることになります。



もちろんその「別の力」とは、軸の傾きです。株価というは、巨大なスロープの上に乗っていて、いずれも理論株価(目指すべき株価)に向かって動いています。割安のとき軸は上向き。割高のとき軸は下向きと表現します。



そしてこれが「窓・壁・軸理論」の断面図です。巨大なスロープの上に、価格帯別出来高によって生じたテクニカルの壁や窓が乗っかっています。そして、このうねうねの曲線は出来高によって変化します。ボールはその変化に従って動きます。もちろん理論株価も変動します。



さて、ここからが本題です。これは昨日時点での日経平均の日足チャート(窓チャート)です。昨日の急伸によって、ぴったり上方の窓を埋めたことが分かります。



これを断面図で表すとこのようになります。窓を完全に埋めたことで、窓の株価を引き寄せる力が消滅。同時に下方のテクニカルの壁も消滅しており、ここから先は「軸の傾き」に従って動きやすくなります。



でも、軸が下向き(理論株価が下)のとき、そもそも全部の窓を埋めること自体が難しいのです。最後の窓埋めのところが"急坂”となり、登れないからです。だから、窓埋め時点で「軸下向き」の可能性は低くなり、「軸がやや上向きにシフトした」可能性が出てきます。



実際、週末の米国株式相場を受けて、週明け、株価は堅調スタートが予想されます。窓上限を上抜け、さらに上昇することが予想されるのです。なので、これが月曜日の終値まで続いた場合、「軸下向き」は完全に否定されます。「強気形状」と判断できるからです。


現時点では「上方の窓埋め」によって「弱気形状(窓理論・法則2)」ですが、月曜日の終値次第では変更を余儀なくされる可能性があります。もし、マイナスとなった場合には、これまで通りに「弱気形状」は継続。下振れの可能性が高いことになります。そういったことを考えながら、月曜日の相場を見ることになります。

閲覧数:13回0件のコメント

Comentarios


bottom of page