Yasushi Kuroiwa

2021年3月2日2 分

「堅調スタートも、基本的には戻り売り」~3/3(朝刊)

 昨日の米国株式相場は下落。ダウ工業株 30 種平均は 143.99 ドル安の 31391.52、ナスダック総合指数は 230.04 ポイント安の 13358.79 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 29525 円付近での推移。したがって、本日の東京株式相場は堅調スタートを想定。リバウンドを試すものと思われる。

 市場が気にしているのは、日米中央銀行の当局者の発言。一部では「FRB が債券購入縮小(テーパリング)に動くのでは?」とか、「日銀が長期金利の上昇を容認するかも」といった声が出ており、その一挙手一投足に注目が集まっている。幸いそのような展開にはなっていないものの、市場のどこかでそういった疑念があるのが実情だ。

 日経平均の日足チャートでは昨日、上方の窓を一部埋めて、そのあと失速。強い達成感が漂っている。典型的な「戻り売りのパターン」であり、上値余地は乏しいと言える。目先は下方の窓(28785.71 円―28817.60 円)を目指す可能性が高く、600 円ほどの下落余地があるだろう。今週中にも到達する可能性があり、投資家は引き続き注意が必要だ。

 週末の米雇用統計に関しては、さほど気にする必要はないだろう。あくまでも「過去の指標」であるため、ある意味これは「確認作業」にすぎない。 また、首都圏の緊急事態宣言解除についても、同じような意味を持つ。「いずれ解除するんでしょ」といったところがコンセンサスであり、市場の材料になりえないからだ。投資家はとにかく、最大の資金供給源である中央銀行の動向を気にしている。当局者が何をしゃべるのか――そればかり気にしているのだ。それくらいナーバスになっている。

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