Yasushi Kuroiwa

2021年7月30日2 分

「売り先行から一段安、いよいよまずい状況」~7/30(夕刊)

 本日の日経平均は 498.83 円安の 27283.59 円で取引を終了した。朝方から軟調スタートとなり、その後はさらに下落幅を拡大させる展開。コロナの感染拡大、週末、月末要因が重なり、下値を試す動きとなった。

 日経平均の日足チャートでは大陰線が出現。直近安値を割り込んでおり、下放れの様相となっている。下方には窓が空いており、短期的には窓下限(27196.40 円)まではスムーズに下落しやすい。もちろん下方には複数の窓が存在しており、これを連鎖的に埋める可能性もある。いよいよ、まずい状況になってきた、といった感じだ。

 ただ、オプション価格から逆算されるインプライド・ボラティリティ(IV、予想変動率)は、20%程度。まだまだ「通常モード」といった感じだ。「普通の下落」であり、まったくパニックにはなっていない。

 それでもチャートは将来的な暴落を示唆するような形となっている。投資家が投げ売りを出す寸前みたいなチャートとなっており、危険極まりないのだ。恐らく日銀はこの下落を放置すると思われ、株価は大幅な調整を強いられるだろう。投資家はその時に備え、売りポジションを維持。不用意な買いポジションを持たないようにしたい。

 もちろん相場を押し下げているのは、「コロナの感染拡大→経済悪化・医療逼迫→政権支持率低下→政局」といったシナリオだ。少なくとも秋には総選挙が行われ、ここで国民の審判が下ることになる。当然、「オリンピックふざけんな」「無意味な非常事態宣言」と国民の多くが思っており、それが与党敗北の原動力となりそうだ。新政権の構想は見えてこないが、それに株価が強く反応する可能性は高い。安倍政権は終了したものの、「アベノミクスの残像」みたいのは存在している。それが瞬く間に消え去るのだから、投資家はリスク回避に動くのは至極当然となる。投資家は「売りポジション」を持ちながら、オリンピック・コロナ・政局のドタバタ劇を眺めるしかない。

<マーケット・ストーリー>

あっという間に池に引きずり込まれた――そうこれは足がつかない底なし沼だ。水泳気分で呑気に構えていると、ヒドイ目に遭いそうだ。だんだん呼吸が苦しくなり、まったく息ができないことに気付くことになる。

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